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地域の子どもが育つ環境をいかに作るか。書で作るカレンダー講座🖌

地域の子どもが育つ環境をいかに作るか。書で作るカレンダー講座🖌

投稿者
島時間office
滞在日時
2022年2月27日~3月27日
滞在先
久志地域

書で作るカレンダー講座を実施しました!

「字を書かない人はいないからね」
どんなにICT教育が進んでも、人として変わらないこと。
大人になってから「もっと字が上手に書けたら…」と思ったことのある人は多いはず。

「久志地域ではほんの30年ほど前までは、
学校や役所の入り口に筆と墨と紙があってね。
いつでもだれでも好きな時に、書きたい気持ちや字を書くことができたんだよ」
実際に、10年前までは瀬嵩公民館や天仁屋公民館では地域の方が講師となって書道教室が開かれていたり、
地域では「書」が身近な存在でした。
現在、学校教育の中では書道の時間数は約10時間程度と限られており、
また書道教室は山を越えた街中でしか開催されていません。
だんだん「書」が身近にある環境ではなくなっているのです。

「書が身近に感じられるといいな」
「たのしみま書!」というイメージから、名護市子ども夢基金事業を活用し、久志地域の子ども達を対象に、講師の皆さんと企画をしました。
講師は南仙さん(茅原書藝曾師範)と、島袋正敏(久志地域・底仁屋区出身)さん。
南仙さんは、久志地域・嘉陽区のカフェiriemumさんでの書展をきっかけにお知り合いになり、
久志地域のチカラになれるなら、ということで快く引き受けてくださいました。

カレンダーは久志地域・豊原区にある印刷会社さん、琉球若草さんに、
「墨で書いてにじまなくて、ある程度余白があって、4月始まりで、地域の空撮写真を入れて…」と、
たくさんわがままを言ってカレンダーを印刷して頂きました。
感染症の状況もあり、開催判断が難しかったところですが、
「こんな今の状況だからこそ、やりましょう!」という講師の方の後押しもあり、
対策をしながら実施することができました。

実際の講座では、
とめ、はね、はらいなどの基本を学び、集落の名前を書いてみたり。
休憩時間には、アダンの筆を使ってみたり、大きな筆を持ってみたり。
実際に墨と水で墨汁を作ってみる体験もしました。

子ども達からはこんな声が。
「筆の洗い方知らなかった~!」
「かご書って初めて知った、これでうまく書けるようになった!」
「カレンダーにこの字を書くぞって考えてきたよ!」

保護者の皆さんからもご感想を頂きました。
「身体を動かして遊ぶことは家でもよくできるんだけど、なかなか落ち着いて書かせるってことができないんだよね。だからこそ書道教室って大事だよね。」
「アダンを見たら、「あれ筆になるんだよ!」と教えてくれたよ!」
「またこの企画や習字教室があったら参加したい!大人の部も!」

講師の南仙さんは、その若さからは想像できないほど穏やかで柔らかく、
子ども達への声掛けもみんなをやる気を引き出して頂きました。
カレンダーの裏面には、南仙さんから一人一人へ字のプレゼントが。
実際に子どもたちの目の前で書いてくださり、「字が歌ってた!」という子も。

島袋正敏さんは、久志地域で「書」と言えば正敏さん、という存在で、久志中50周年・緑風学園10周年の記念誌の表紙も書かれています。そしてなんと、80歳を目前に、改めて書道を習おう!ということで南仙さんの書道教室に通われ始めたそうです。子ども達にも優しく指導してくださり、「書道を続けられる環境をどう作るか、子どもたちの育ちの環境を、地域の我々はいかに支えられるか」という視点について保護者の皆さまへも投げかけをして頂きました。

字を習う、ということは、もちろん上手に書く、丁寧に書くことも大切ですが、
字に向き合う姿勢や作法、礼儀があって、
それらを通して、落ち着いた心や、気持ちを込めること、先を見通すこと、イメージすること
たくさんのことを学ぶことができます。
また地域では、豊年祭の演目や題字など、書が活躍する場は多くあります。
これから久志地域の子ども達へ「書」に触れる環境をいかに作っていくか。
地域の方々と関わる皆さんと少しずつ歩みを進めていければと思っています。